「面接では好印象だったのに、入社後に苦戦している」「逆に、通過ギリギリだった人がいちばん活躍している」——採用担当者からよく聞く話です。多くの場合、候補者の見極めが甘かったのではなく、そもそも見ている基準が面接官ごとに違っていた、というのが実情です。
「見る目」の差ではなく、「物差し」の差
面接官Aは受け答えの論理性を重視し、面接官Bは熱意や人柄を重視する。どちらも間違いではありませんが、2人が同じ候補者を評価すれば、当然ちがう結論になります。これは面接官の「見る目」の優劣ではなく、そもそも異なる物差しで測っているという、構造の問題です。
実際に採用基準を作る際、まず着手するのは候補者の見極め方ではなく、「この会社で活躍する人に共通する条件は何か」を、経営理念や事業戦略から言葉にする作業です。ここを飛ばして面接テクニックだけを磨いても、物差し自体がバラバラなままなので、評価のばらつきは解消しません。
不合格理由が言えないのも、同じ原因
「なんとなく合わない気がした」という理由で不合格にした経験がある方は少なくないはずです。これも物差しが言語化されていないために起きます。判断基準が明文化されていれば、「どの項目で、どのレベルに届かなかったか」を具体的に説明でき、候補者へのフィードバックの質も上がります。
「その人がダメだった」のではなく、
「何を、どこまで見るかが決まっていなかった」。
「何を、どこまで見るかが決まっていなかった」。
採用基準の設計とは、面接官の感性を否定することではありません。むしろ、それぞれの面接官が持っている良い勘や経験を、組織全体で使える共通の言葉に変換する作業です。次回は、その言葉づくりに使う「コンピテンシー」という考え方を具体的に紹介します。