どう戦って勝つかを明確にしたうえで、それを実現するためにどういう人が必要かを定義する。この順番は絶対です。逆はありません。今いる人がいて、その人たちの基準に沿って組織がすることを決める、というのは順番が逆です。
戦略が先、人はあと。逆から組織を作ると崩れる
戦略はいいのに、今いる人材が足りていない組織を何度も見てきました。多くの場合、原因は戦略そのものではなく、その戦略を実行できる人材の定義を後回しにしてきたことにあります。「今いるメンバーで何とかする」という発想から入ると、採用基準も評価制度も、いつの間にか「今の組織に合う人」を測るだけの物差しになります。それでは、戦略が変わったときに真っ先に古びます。
成長を待つか、採用するか——経営判断の分かれ目
努力と成長でなんとかする、というのでは間に合わない場合もあります。人の成長を待つかどうかは、経営判断の大きなポイントです。もちろん、成長させられるのであれば、それに越したことはありません。しかし、今いる機会の中で成長できる蓋然性が低いのであれば、これは新たに採用するしかありません。「育成で対応できるか、採用で対応するしかないか」を見極めずに、なんとなく育成方針に倒れる組織は少なくありません。
「勝つための戦略」から、必要な人を定義する。
ストレッチ採用が生む、もう一つのリスク
ただし、ストレッチ採用をすればするほど、既存メンバーとの能力の乖離は生まれます。これが結果的に人と人の間の問題につながり、組織が崩壊することも、なくはありません。スタートアップのような成長速度の速い組織においては、これは日常茶飯事です。戦略に必要な人材を採る判断そのものは正しくても、その受け入れ方を誤れば、組織の内側から傷むということです。
基準を作り直し続けることが、経営の能力になる
そうした意味では、組織の正常な新陳代謝は必要であり、できるだけ問題を起こさない形での人の入れ替えは、それ自体が重要な経営能力です。そのためにも、評価基準や採用基準は、常に作り直していかなければなりません。10年前と変わっていない評価制度や採用基準は、ある意味で組織の課題をそのまま映し出しています。いつ、どのように変わったか。動きの速い現代においては、年ごとに見直すくらいで、ちょうどいいレベルです。