Thoughts 08
手間をかけないほうが、
丁寧になることがあります
不動産は人手の商売だと言われます。足を運び、人に会い、手をかけるほど良い、と。私は、ほぼ逆のことを考えてきました。手をかけずに済むところを徹底的に減らすほうが、結果として一件ずつを丁寧にできる、という考え方です。
やってきたのは、ひとつのことだけです
経歴を並べると別々の仕事に見えますが、やっていることは20年以上、ほとんど同じです。「同じ時間で、どれだけできるか」。それだけを考えてきました。
いちばん分かりやすいのは、営業の仕事です。営業は、気合いと相性の世界だと思われがちです。実際にはそうではありません。
やったことは単純で、ひとつづきに見える仕事を、いくつかの単位に分けることでした。お客様との接点をつくる仕事、商談をする仕事、それぞれ別の仕事として切り出します。
分けると、単位ごとに数字が取れるようになります。接点をつくる人は、どれだけ会えたか(量)と、そのうち何件が次に進んだか(転換率)。商談をする人も同じで、何件話し、何件決まったか。どちらも「量」と「質」の2つで見ます。
分ける
仕事を単位に
ひとつづきに見える仕事を、性質の違う工程に切り分ける
測る
量と転換率
単位ごとに、どれだけやったかと、どれだけ次へ進んだか
つなぐ
全体で最大に
単位ごとの最適を足しても最大にはならない。渡し方まで設計する
分けただけでは、部分最適が並ぶだけです。
この考え方は、営業に限りません。物件の分析も、書類の作成も、同じように分けて、測って、つなげます。私が電気工事士を取ったのも、リフォームの工程を分けて見られるようになるためでした。
生産性が上がると、「時間」が増えます
生産性という言葉は、たいてい「コストを下げる」の言い換えとして使われます。私が見ているのはそこではありません。
同じ仕事が短い時間で終われば、浮いた時間が手元に残ります。その時間を何に使うかが本題です。件数を増やすこともできますし、一件にかける時間を増やすこともできます。
私が選んでいるのは後者です。だから「手間をかけないほうが丁寧になる」という、一見おかしなことが起こります。手を抜いているのではなく、抜いていい工程を見つけて、そこで浮いた分を、抜いてはいけない工程に寄せているだけです。
それは、ご相談いただく方に何で返るのか
ここまでは私の都合の話です。受け取る側から見て何が変わるのかを書きます。
- 返答が早くなります。調べものと資料づくりに時間を取られないぶん、お待たせしません
- 費用が乗りません。人手でしか回らない仕組みは、その人件費がどこかに乗ります
- 見落としが減ります。手順が決まっている作業は、疲れていても品質が変わりません
- 「やめたほうがいい」と言えます。ここがいちばん大きいと思っています
最後の一つだけ補足します。一件あたりの手間が重い会社は、断りにくくなります。時間をかけて調べた案件を「見送ったほうがいいです」と言うのは、経営としてつらいからです。手間が軽ければ、その判断がしやすくなります。効率の話は、めぐりめぐって、何を言えるかの話になります。
ただし、判断は人がします
誤解のないように書きます。価格を決めているのも、進め方を決めているのも、人です。
道具が出せるのは材料までです。似た条件の成約事例を集める、費用を計算する、抜けがないか確かめる。ここは機械のほうが速く、正確です。ただ、その物件をどう見るか、いまの相場をどう読むかは、機械には決められません。
「AIが査定します」とは申しません。そう言えてしまう会社のほうを、私は疑います。
このサイトも、そうやって作りました
実例として、いまお読みいただいているこのサイトがそうです。
制作会社には頼んでいません。構成も文章も、私が考えたことをもとに、AIを使って手元で組み立てています。数十万円から百万円単位の費用がかかるところを、ほぼ自分の時間だけで作りました。
ただし、何を書くかを決めているのは私です。速く形にするために道具を使っているだけで、載せている考え方は、そのまま私が普段お客様に申し上げていることです。
大事なのは費用ではなく、直したいときにすぐ直せることです。ここまでにも何度も書き直しています。外に頼んでいたら、そのたびに見積と日程の話になり、おそらく直さずに放っておいたはずです。
会社の実務も同じ考えで組んでいます。調べもの、計算、資料づくりは、できるところまで機械に任せています。少ない人数で回せるようにしておくことは、規模を追わずに済むということでもあります。無理に件数を追う必要がなければ、合わない仕事を断れます。
数字の根拠や、判断に使った材料は、ご希望があればそのままお見せします。どうやって出した数字なのかを確かめていただくほうが、こちらとしても確かです。